地球温暖化で農業がピンチ!日本の食卓を守るために知っておきたい影響と対策

「今年の夏は本当に暑いと毎年思っていませんか。

2024年の夏は観測史上最も暑い夏となり、農家の現場では、作物の品質低下やこれまでにない病害虫の発生、栽培適期のズレなど、さまざまな問題が起きています

この記事では、地球温暖化が日本の農業に与える影響と、具体的な対策をわかりやすく解説します。

未来の日本の食卓を守るために、一緒に考えていきましょう。

地球温暖化で日本の農業に起きているヤバい変化

現在日本は地球温暖化によってどのような状況になっているのでしょうか。

まずは現状を正しく把握することから始めましょう。


2024年は記録破りの猛暑だった

2024年夏が観測史上1位の高温を記録し、農業現場では作業環境が悪化し、熱中症リスクが急激に高まりました。

長期的な視点で見ると、日本の気温は100年あたり1.35℃のペースで上昇しており、真夏日・猛暑日・熱帯夜の日数が激増しています。

<2024年夏の記録的数値>

参考:気象庁「日本の夏(6~8月)の平均気温

世界でも記録的な暑さとなり、国際連合事務総長は「地球温暖化の時代は終わり、『地球沸騰化』の時代が来た」と警告しました。

台風被害も深刻化しています。2024年8月に発生した台風では、鹿児島県で畜舎やハウスなど施設の浸水や損壊など、農業への甚大な被害が報告されました。


作物の収量と品質に出ている明らかな変化

温暖化の影響は、農作物の収量と品質に明確に現れています。

水稲では登熟期の高温により白未熟粒(米粒が白く濁る現象)の発生が増加し、等級低下で価格ダウンにつながっています。見た目が白く濁るだけでなく、炊飯時に崩れやすくなり、食味も低下します。

<主要作物への具体的影響>

  • 水稲(お米):白未熟粒の発生増加、等級低下による価格ダウン
  • 果樹:りんご・ぶどうの着色不良、商品価値の低下
  • 野菜類:高温障害による奇形果、生育不良での収量減少
  • 施設栽培:ハウス内温度管理の限界、冷房コスト大幅増加
  • 畜産業:乳量減少、産卵率低下による収入への直接的影響

これらの変化は、農家の経営基盤を揺るがす深刻な問題です。


今まで見たことない虫や病気が農場に

暖冬により越冬する害虫が増加し、防除回数とコスト増加が農家の負担となっています。

ヤシオオオサゾウムシやミナミアオカメムシなど、各地で今まで確認されていなかった生育適温が高い病害虫が発生する事態も。農林水産省の調査では、全国的に病害虫の発生や被害などに変化が生じているとの報告があり、全国的な問題となっています。

農薬抵抗性害虫の増加により防除効果が低下し、農薬使用量が増加してお金と環境負荷の両方がアップする悪循環に陥っています。

参考:日本農業新聞「温暖化による害虫生息域の拡大や外来害虫の侵入」


このまま温暖化が進むと日本の農業はどうなる?

地球温暖化が進み今までのように農業ができなくなると、さまざまな危機が訪れます。 今後の農業や生活に関わるため、事前に起こりうる危機を把握しておきましょう。


今後日本農業はこう変わる

温暖化が進行すると、現在の栽培適地での作物生産が困難になる可能性があります。

栽培に適した場所がどんどん北に移動することで、産地間競争が激化し、ブランド力が低下。地域の名産品が作れなくなる可能性も現実的な脅威となっており、農業所得への長期的な影響をもたらします。


価格高騰が引き起こす消費者の海外産シフトリスク

温暖化によって作物の品質が低下し収穫量が減ると、国産野菜の価格が上昇します。

価格が上がると、家計を気にする消費者は、より安価な海外産の野菜に流れる可能性が高まります。国産農産物の需要が減少し、農家の収入がさらに減ってしまうでしょう。

この悪循環が続けば、国産農産物の価格競争力が低下し、農家の経営規模は縮小。規模が小さくなれば生産コストがさらに上がり、価格がさらに高くなるという「負のスパイラル」に陥ってしまいます。

このような状況を避けるためには、品質を向上させ、安定した供給を適正な価格で続けることが必要です。


温暖化に負けない農業の新しい技術

地球温暖化によるダメージは、今からでも対策が可能です。比較的取り組みやすい対策や今後の経営を支える方法を解説します。


お金をかけずに今すぐできる対策

温暖化対策は高額な設備投資が必要と思われがちですが、コストを抑えた対策も多数あります。

<低コストでできる対策一覧>

対策 効果 導入コスト
遮光ネット 強い日差しをカット
作業時間変更 早朝・夜作業で安全性向上
水やり工夫 適切なタイミングで効率アップ なし
反射マルチ 地温上昇を防止

これらの対策は数千円から数万円程度で導入でき、すぐに効果を実感できます。


未来を見すえた本格的な取り組み

長期的な視点で見ると、お金はかかるもののより効果的な対策も必要になります。

  • 強い品種への切り替え:暑さや乾燥に強い新品種への切り替えが進んでいます。これにより、高温でも安定した収穫が期待できます。
  • スマート農業の活用:IoTンサー、AIドローンなどを使い、農場の状態をデータで管理します。水やりや肥料の量を自動で調整したり、病害虫の発生を予測したりすることで、効率的で無駄のない農業を行えます。
  • ハウス栽培の進化:最新のハウス栽培では、温度や湿度、日射量を自動でコントロールし、作物が育ちやすい環境を維持します。
  • 水の上手な使い方:節水システムや、水はけと水持ちを良くする土づくりによって、水資源を有効活用できます。

健康な土づくりは、強い作物を育てる土台です。

アグリアスで販売している微生物資材「エクスプルート」は、土壌中の有用な微生物の働きを活発にし、作物の根張りを良くします。作物が水分や養分を効率よく吸収できるようになり、厳しい環境下でもたくましく育つ手助けとなるため、作物の生育が気になる方は、ぜひご覧ください。


環境にも優しくて儲かる一石二鳥の技術

地球温暖化は、温室効果ガスの増加が原因の一つです。温室効果ガスを減らす取り組みは、生産性の向上にもつながり、利益を生み出すことができます。

  • 省エネ設備:高効率なヒートポンプやLED照明を導入することで、エネルギー消費を抑え、電気代を削減できます。
  • 自然エネルギーの活用:太陽光発電などの自然エネルギーを利用することで、温室効果ガスの排出を抑えながら、電気代も安くできます。

環境に優しい農業は、消費者の関心も高く、新しい販路の開拓にもつながります。地球を守りながら、農家の経営を安定させる一石二鳥の解決策と言えるでしょう。


農家の経営を守る!温暖化時代の攻めと守り

次世代につながる農業は、現在の農業の大きなテーマ。今はもちろんのこと、長く続けられる経営を目指す方は、次世代への対策も検討しておくことが必要です。


リスクを分散して経営を安定させる方法

温暖化によるリスクに備えるには、一つのことに頼らず、さまざまな対策を組み合わせることが大切です。

  • 複数の品種を作る:収穫時期が異なる複数の品種を栽培することで、特定の時期に収穫が集中するリスクを避け、収入を安定させられます。
  • 売り先をたくさん確保する:スーパーへの出荷だけでなく、直売所、契約栽培、ネット販売などを組み合わせることで、特定の販路に依存するリスクを減らせます。
  • 農業保険を見直す:温暖化による気候変動リスクに対応した農業保険を見直すことで、不測の事態に備えることができます。
  • 地域のみんなで協力する:地域全体の農家で共同出荷を行ったり、情報や技術を共有したりすることで、互いに助け合い、安定した経営を目指せます。
  • 新しい作物にチャレンジする:温暖化によってこれまで作れなかった熱帯性の作物が、日本でも栽培できるようになる可能性があります。新しい作物に挑戦することで、新しい収入源を確保できます。


次の世代につなぐ持続可能な農業づくり

持続可能な農業は、これからの時代を生き抜くために必要不可欠です。

ポイント 効果
土の健康管理 有機物資材などを活用した長期的な土づくりによって、作物が育ちやすい健康な土壌を維持する。
水の確保 貯水設備や効率的な節水技術に投資することで、干ばつなどの水不足に備えられる
技術の引き継ぎとデータ化 長年の経験や勘で培ってきた技術を、データとして記録・分析することで、後継者がスムーズに技術を引き継ぐことが可能に
若手農家との連携 新しい技術を持つ若手農家と、伝統的な知恵を持つベテラン農家が連携することで、お互いの知識を組み合わせ、より良い農業を目指せる
地域ブランドを守る 気候変動に対応した品質向上と、SNSなどを活用した情報発信によって、地域特有のブランドを守り、高められる

なおアグリアスのブログでは、次世代につなぐ農業に向き合った土づくりに関するさまざまな情報を発信しています。興味のある方はこちらから、ぜひご覧ください。

アグリアスブログ


支援制度を使って賢く対策

温暖化対策と聞くと、高額な設備投資が必要だと感じてしまうかもしれません。しかし、国や自治体には、農家を支援するための豊富な補助金制度が用意されています。制度を賢く利用することで、費用の負担を減らし新しい技術を導入しやすくなるでしょう。

たとえば、2025年度には「スマート農業技術活用促進集中プログラム」が新設されます。

この制度は、IoTセンサーやドローンなどのスマート農業技術の導入を支援するもので、費用の半分以上が補助されるケースもあります。

また、省エネ設備を導入するための補助金や、暑さに強い品種への切り替えを支援する制度も。農業保険制度も、気候変動リスクに備える上で欠かせません。収入保険や園芸施設共済などを活用することで、収入が不安定になるリスクを減らすことができます。

補助金や支援制度の申請には、計画書や見積もりなどが必要になります。早めに情報を集め、専門家にも相談しながら、計画的に準備を進めるのがおすすめです。


温暖化に負けない農業の未来を今から作ろう

地球温暖化は、日本の農業にとって大きな課題です。

しかし、この課題に立ち向かうための対策や技術は、着実に進んでいます。一時的な対策だけでなく、未来を見据えた長期的な戦略を立てていくことが非常に重要です。

本記事で解説したように、健康な土づくりは温暖化対策の基本です。 作物が根っこから強くたくましく育つためには、土壌環境の改善が欠かせません。

アグリアスが開発した微生物資材「エクスプルート」は、土壌中の有用な微生物の働きを活発にし、作物の根張りを根本からサポートします。厳しい環境下でもたくましく育つ強い作物づくりに貢献します。

今後の農業のために土づくりを検討している方は、ぜひ「エクスプルート」の詳細をご覧ください。